第一回総会で採択された自立生活センターアークスペクトラム規約の全文は、次の通りです。



自立生活センターアークスペクトラム規約


第1章  自立生活センターアークスペクトラムの名称、性格、組織原則


第一条  団体の名称は、自立生活センターアークスペクトラムとする。


第二条  自立生活センターアークスペクトラムは、障害者の団体であると同時に、障害者と協働する人びとの団体であり、障害者にたいする差別や抑圧を許さず、個人の尊厳と多様性を擁護するために行動する。

  団体は、日本国憲法をまもり、障害者権利条約がいきる社会の実現をめざす。


第三条  団体は、障害者の自発的な意思によってむすばれた結社であり、組織運営の最終的な意思決定は障害者にもとづくことを原則とする。

一.意思決定の責任および常任委員会の責任者が障害者であること

二.常任委員会の構成員の過半数が障害者であること

三.意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める

四.決定されたことは、みんなでその実行にあたる

五.常任委員会は選挙によってつくられる

六.性別または性差による組織的排除をおこなってはならない


第2章  会員


第四条  障害を持つ人で、地域での自立した生活をおこなっており、団体の規約をみとめる人は会員となることができる。会員は、団体の組織にくわわって活動し、規定の会費を納める。


第五条  会員の権利と義務は、つぎのとおりである。

一.団体の会議で、団体の方針、団体の運営について討論し、提案することができる

二.団体内で選挙し、選挙される権利がある

三.団体が決定したものは自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。

四.組織運営のどの機関にたいしても質問し、意見をのべ、回答をもとめることができる

五.活動歴、部署のいかんにかかわらず、団体の規約はまもる


第六条  会員になることを希望する人は、会員一名の推薦をうけ、入会時にきめた会費をそえて申し込む。

  入会は、常任委員会幹部会に承認を受ける。


第七条  団体は、あらたに入会した者に、理念、規約など、自立生活センターアークスペクトラムの一員として活動をするうえでの必要な基礎知識を身につけるための教育を、最優先でおこなう


第八条  会員は退会できる。会員が退会するときは、機構にその事情をのべ承認を受ける。機構は、その事情を会議にはかり、退会を認め、常任委員会幹部会に報告する


第九条  会員は、以下の事由に当てはまるときその資格を喪失する。処分の決定は、団体組織の努力がつくされ、本人が意見をのべたことを確認し、慎重に調査、審査のうえおこなう。

一.会員が退会または死亡したとき

二.本団体が解散したとき

三.年会費を未納のとき

四.団体の規約に著しく違反したとき

五.会員資格を喪失したときに権利は失効し義務は免れる


第3章  組織と運営


第十条  団体は、地域につくられる支部を基礎とし、基本的には支部-本部という形で組織される。


第十一条  団体のすべての機関は総会の選挙によって選出される。役員に選挙される場合は、二年以上の活動歴が必要である。

  選挙人は自由に候補者を推薦することができる。常任委員会幹部会は次期常任委員会を構成する候補者を推薦する。選挙人は、候補者の品性、能力、経歴について審査する。

  選挙は無記名投票による。表決は、候補者一人ひとりについておこなう。


第十二条  総会は、会員総数の過半数の出席によって成立する。


第十三条  団体の最高機関は、総会である。総会は、常任委員会によって召集され一年に一回ひらく。常任委員会は、総会の召集日と議題をおそくとも三ヵ月前にすべての会員に知らせる。会員ではない常任委員は評議権を持つが、議決権はもたない。


第十四条  総会は、つぎのことをおこなう。

一.常任委員会の報告をうけ、その当否を確認する

二.常任委員会が提案する議案について審議・決定する

三.団体の理念、規約をかえることができる

四.常任委員会を選出する


第十五条  総会からつぎの総会までの指導機関は常任委員会である。常任委員会は、総会決定の実行に責任をおい、主としてつぎのことをおこなう。

一.団体の方針と事業を、すべての成員に徹底し、実践する。その経験をふまえてさらに正しく発展させる

二.国際的な人権保障の発展にもとづく団体の理論活動をすすめる

三.団体の会計と事業、財産を監査する


第十六条  常任委員会会議は一年に一回以上ひらく。


第十七条  常任委員会は、常任委員会幹部会委員と幹部会委員長、幹部会副委員長を選出する。またやむをえない理由で任務をつづけられない委員は、本人の同意をえて、常任委員会の三分の二以上の多数決で解任する。その場合、つぎの総会に報告し承認をうける。


第十八条  常任委員会幹部会は、常任委員会会議からつぎの常任委員会会議までのあいだ常任委員会の職務をおこなう。常任委員会幹部会は、幹部会委員長を責任者とする機関情報委員会を設け、機関情報委員を任命する。


第十九条  常任委員会幹部会は、団体機関の指導その他団体活動にかかわる具体的措置にかんする団体内外からの訴え、要望などをみとめたとき、請願委員を任命しすみやかな解決をはかる。

  その場合、つぎの常任委員会会議に報告し承認を受ける。


第二十条  常任委員会幹部会は、会員の規律違反をみとめたとき、規律委員を任命し、調査と審査をする。

  その場合、つぎの常任委員会会議に報告し承認を受ける。


第4章  支部


第二十一条  会員は居住する地域に支部をつくる。支部は、団体の基礎組織であり、地域で団体の代表として活動する。

  状況によっては、おなじ地域に支部が二つ以上あるとき地区組織をつくる。


第二十二条  支部の任務は、つぎのとおりである。

一.地域で団体を代表して活動する。

二.支部の会議を、原則として週一回定期的にひらく。総会と常任委員会の決定をよく討議し、支部活動に具体化する。障害者がどんな切実な要求を持っているかをつかみ、要求実現のためにどういう行動をおこすかを明らかにし、実際に行動をおこす。

三.支部員が、意欲をもって、団体の理念、規約、国際的な人権保障の発展にもとづく団体理論の学習に励むよう、集団学習などにとりくむ。

四.支部員のあいだの連絡・連帯網を確立し、一人ひとりの活動状況に目を向け、すべての支部員が条件と得手を生かして活動に参加するよう努力するとともに、支部員がたがいに緊密に結びつき、援助しあう人間的な関係の確立をめざす。


第5章  資金


第二十三条  団体の資金は、会員費、団体の事業収入および団体への個人の寄付などによってまかなう。


第二十四条  会員費は、実収入の1%とする。会員費は、月別、一定期間分の前納でおさめる。

  納めることが困難な場合、減免の措置をうけることができる。


第二十五条 常任委員会幹部会は、資金と資産を管理する。


第6章  規律


第二十六条  会員が規約とその精神に反し、団体と障害者の利益をいちじるしくそこなうときは規律違反として処分される。

  規律違反について、調査審議中の会員は、第五条の会員の権利の必要な範囲で制限することでができる。ただし六ヵ月をこえてはならない。


第二十七条 処分は、警告、権利停止、機関からの罷免、除名にわける。

  権利停止の期間は、一年をこえてはならない。機関からの罷免は、権利停止をともなうことができる。


第二十八条  会員にたいする処分は、常任委員幹部会の決定によるとともに、常任委員会の承認をえて確定される。


第二十九条  常任委員会の委員の権利停止、機関からの罷免、除名は、常任委員会の三分の二以上の多数決によって決定し、つぎの総会で承認をうけなくてはならない。


第三十条  除名は、団体の最高の処分であり、最も慎重におこなわなくてはならない。会員の除名を決定するとき、承認する場合には、関係資料を公平に調査し、本人の訴えをききとらなくてはならない。


第三十一条  会員にたいする処分を審査し、決定するときは、特別の場合をのぞいて、処分をうける会員に十分な意見表明の機会をあたえる。処分が確定されたならば、処分の理由を、処分された会員に通知する。

  処分を受けた会員は、その処分に不服であるならば、処分を決定した常任委員会幹部会に再審査をもとめ、また、常任委員会に訴えることができる。被除名者が処分に不服な場合は常任委員会および総会に再審査をもとめることができる。


付則


第三十二条  常任委員会は、この規約に決められていない問題については、規約の精神にもとづいて、処理することができる。


第三十三条 規約の改定は、総会によってのみおこなわれる。

  この規約は2021年2月16日から効力をもつ。