街頭宣伝2009年9月29日

街頭宣伝コメント

岡田健司


  私たちは、西大路四条下がる高辻にあります。障害者団体です。日頃より、どんなに重度の障害を持っていても、施設や病院や、在宅ではなく、地域で暮らしたいとねがう障害者の地域生活にかかわるさまざまなサポートを行っており、街頭宣伝で、いま起こっている障害者問題についてのお話をしています。

「障害者自立支援法における応益負担は違憲である」と全国一斉提訴した裁判があります。障害者自立支援法における裁判は、障害者本人の所得に関係なく一律にサービスに応じた負担を強いる応益負担が障害を個人の責任にし、自助努力によって解決を迫るのは自立支援法の趣旨にも反し、法律違反であると訴えを起こしました。これまでの障害者福祉の自己負担原則を大きく変えたものでしたが、ここ京都でも裁判が行われており、先月8月24日は第3回目が開廷しました。

  原告の稲継学さんが提訴した裁判は、追加提訴により9人の原告団になり、併合審理という形で進んでいます。厚生労働省・京都府市内の役人立会いのもと、原告弁護団は、あらためて応益負担は憲法に反することを主張しました。その理由として、他の社会保障との整合性から見てもそう言わざるを得ません。そもそも障害を持っていようが人間に値する生活を営む権利は社会権として決められています。障害を持つ人のために必要なサービスを保障すると具体化したのが自立支援法です。憲法を遵守し、法律を作った人たちの役目は、障害を持つ人が必要なサービスによって社会参加の役にたっているかどうか、そのことについて正しく理解することにあるはずですが、自立支援法による自己負担が、社会生活上にかかる負担とサービス利用にかかる負担とによって、障害を持つ人の社会参加への妨げになっていることに目を向けません。法廷に立った、原告の稲継学さんは共同作業所に通い、地域での暮らしを営む人でしたが、作業所で働くこと=国のサービス提供だと捉えられ利用するなら利用料を取られることになりました。また廿日岩さんは作業所でのはつかいわ給料が5000円、自己負担が6300円もかかります。廣瀬ゆみこさんは亀岡にある作業所に通う人ですが、月々3000円の自己負担を払いながら、86歳になるお母さんと生活をされています。廣瀬さんは朝晩以外の必要な介助が得られなくて思うような日中活動ができず、お母さん自身も介助者を使ってぎりぎりの中で暮らしていると話されました。このような状況にあるのは、サービス利用にかかる負担が社会生活上の負担に覆いかぶさり、サービス利用の制限を余儀なくさせられているからです。

  厚生労働省は、障害者自立支援法は、あくまで障害者のみが受けられるサービスであり、健常者は含まれないことを理由に人権侵害でも法律違反でも、差別でもない。そう主張します。逆にいえば、障害者だけが受けられるサービスは差別であると明言しているのと同じです。これはやはり国による恣意的な差別と言わざるを得ず、現実の経済的不平等を実質的に解消していく法原則の趣旨にも反しています。

   次回公判は、11月16日(月)13時30分より、京都地裁で始まります。政権が交代したもとで、国としての方針が問われています。ぜひこの問題に注目し、法廷へ足を運んでいただきたいとお伝えして、この後の宣伝に代えさせて頂きます。ありがとうございました。